Duolingo English Testと英検を比較してみた
「Duolingo English Testと英検は、どんな風に違うのだろう?」
多くの方が、こんな疑問をお持ちなのではないでしょうか?
世界中に広まりつつあるDuolingo English Testですが、日本ではまだ情報が少なく、他の英語試験との比較情報を調べてもほとんど出てこないのが現状です。
そこで今回は、Duolingo English Testと英検を比較し、その違いを調査してみました!
以下の、各試験の違いについても詳しく解説していきます!
- 試験時間
- リーディングの文章量
- リスニング問題
- ライティング量
Duolingo English Testの受験を検討している・受験するという方で、英検との比較が気になる方はぜひ参考にしてみてください!
目次
Duolingo English Testと英検の違いとは? 各試験の特徴と概要
Duolingo English Testと英検は、どちらも英語力を測る試験です。
しかし、試験の目的や受験形式、試験内容は大きく異なります。
Duolingo English Test
Duolingo English Testは、2016年に英語学習アプリ「Duolingo」の開発会社によって開始された英語試験です。
オンラインで受験が完結する試験で、4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)を総合的に測ることができます。
特に海外大学・大学院出願時の英語能力証明として利用されることが多く、オンラインで24時間受験可能な点が特徴です。
英検
英検は日本国内で長年にわたって実施されてきた試験で、小学生から社会人まで幅広い層が受験しています。
1級から5級まで級ごとに異なるレベルで英語力を測る形式で、1級〜3級は4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)を、4級・5級は、リーディング・リスニングの2技能のみを測定します。
日本国内での受験や就職活動などに活用されています。
目的別に選ぶべき? Duolingo English Testと英検の利用シーンと選び方
Duolingo English Test
Duolingo English Testは、主に海外大学・大学院出願時の英語力証明を目的として利用されることが多い試験です。
オンライン完結型で、結果が48時間以内に出るため、受験会場に通うことが難しい方や急いで英語力証明が必要な方にも適しています。
また受験費用が$65(約1万円)とTOEFLやIELTSの半額以下で受験でき、留学準備費用を抑えたい方にも適している試験です。
英検
英検は日本国内で広く認知されており、特に学校の推薦や就職活動のための英語力証明を目的として利用されることが多いです。
英検の受験費用は、以下のようになっています。
1級:12,500円(税込)
準1級:10,500円(税込)
2級:9,100円(税込)
準2級:8,500円(税込)
3級:6,900円(税込)
4級:4,700円(税込)
5級:4,100円(税込)
また、先述したように英検は幅広い年齢層に受験されており、その理由としては主に以下が挙げられます。
①小学校での英語学習が始まる前に基礎を学習するため
②学生の進路の幅を広げるため
③大学受験で利用するため
④英語学習のモチベーションを維持するため
高校生であれば、「③大学受験で利用するため」というのが、英検受験の目的として多いのではないでしょうか。
例えば、「英検2級以上」をもっていると、大学受験で英語試験が免除されたり、加点されたりなどのメリットがあります。
試験時間の違いを比較:Duolingo English Testと英検の集中力の必要度
Duolingo English Test
Duolingo English Testの試験時間は約60分です。
短時間で4技能を測定できますが、その時間の中で全19種類の問題形式に対応しなければいけないため、高い集中力が求められます。
英検
英検は、級によって試験時間が異なります。
また、3級以上は試験が2日間(1次試験・2次試験)あります。
1次試験:リーディング、リスニング、ライティング(※4級・5級はライティングなし)
2次試験:スピーキング
1次試験試験時間
5級:50分
4級:1時間5分
3級:1時間35分
準2級:1時間50分
2級:1時間50分
準1級:2時間5分
1級:2時間20分
2次試験試験時間(3級〜1級)
3級:約5分
準2級:約6分
2級:約7分
準1級:約8分
1級:約10分
上記は、2次試験の面接自体の目安時間です。
英検ホームページでは、2次試験の所要時間は受付を通った時間から60分前後と記載されています。
コメント
Duolingo English Testは、60分という短い試験時間のなかでより正確に問題を解き進める必要があり、英検よりも高い集中力が求められます。
しかし、英検の場合は試験時間が長い分、Duolingo English Testよりも持続的な集中力が必要になります。
スコアの出し方と評価基準:Duolingo English Test vs 英検
Duolingo English Test
Duolingo English Testは、160点満点(総合スコア)の試験で、5点刻みで採点されます。
総合スコアと4技能スコア(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)、サブスコアが測定される試験です。
サブスコアはリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能の組み合わせによって設定されています。
以下が、Duolingo English Testの4つのサブスコアです。
- Literacy=読んで書く能力
- Comprehension=聞いて読む能力
- Production=書いて話す能力
- Conversation=話して聞く能力
英検
英検は「合格・不合格」の判定のほかに、「合計スコア・技能別スコア」、「英検CSEスコア※」、「CEFRレベル※」が出されます。
※CSEスコアとは、Common Scale for Englishの略です。
英検CSEスコアは、各技能ごとの具体的なレベルを数字で表してくれています。
英検の合格基準はこのCSEスコアによって定められています。
※ CEFRとは、ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages)の略で、英語などの外国語の能力を評価するための国際基準です。
A1(初級)からC2(上級)までの6つのレベルがあります。
Duolingo English Testスコアは下記の記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
Duolingo English Testと英検のスコア比較:CEFR換算で見る難易度の違い
Duolingo English Testスコアと、英検のスコアを比較してみます。
Duolingo English Testと英検のスコア比較は公式では発表されていないため、英検スコアからCEFRを出し、Duolingo English Testスコアと比較したものです。
目安としてわかりやすくすると、以下のようになります。
- Duolingo English Test 125点→英検1級
- Duolingo English Test 100点→英検準1級
- Duolingo English Test 80点→英検2級
コメント
上記の表からは、英検よりもDuolingo English Testの方が難易度が高いのではないかと予想されます。
実際に、英検1級に合格しているAさんは、Duolingo English Testで155点を獲得していますが、英検1級よりもDuolingo English Testの方が遥かに難しかったとおっしゃっていました。
世界大学ランキングの上位大学では、Duolingo English Test120〜135点が求められ、英検だと1級レベルが必要です。
しかし世界大学ランキング上位大学を目指さない場合は、Duolingo English Test100点があれば大学の選択肢が広がるので、英検準1級レベルを目指しましょう。
ちなみに、英検準1級を取得した弊社の講師のDuolingo English Testスコアは100点だったので、絶対ではないですが、上記の表は参考になると思います。
リーディングの文章量の比較
Duolingo English Testと英検の違いとして、1つのパッセージ(文章)に含まれる単語数があります。
Duolingo English Test
Duolingo English Testでは、最も長いパッセージ(Interactive Readingでの文章)でも単語数は140単語程度です。
Interective Readingは、1パッセージあたり6つの問題を、7分または8分で解答するリーディング問題です。
Duolingo English Testでは2つのパッセージが連続して出題されるため、合計12問に解答する必要があります。
英文読解と見直し時間を考えると、1問1分が解答時間の目安です。
解答方法には、「選択肢を選ぶ」ものと、「質問の解答に該当する箇所をハイライトする」の2タイプがあります。
英検
英検2級〜1級の長文読解が必要な問題には、大問2と大問3があります。
大問2:語句空所補充問題(長文中の空所に、文脈に合う適切な語句を補う)
大問3:内容一致選択問題(長文内容の質問に対する答えとして適切な選択肢を選ぶ)
上記の表を見てもらえばわかるとおり、級のレベルが上がるにつれて長文の単語数が増えていきます。
英文読解と見直し時間を考えると、1問1分30秒〜2分が解答時間の目安でしょう。
以下は、準1級の大問3の長文です。
コメント
Duolingo English Testのリーディング問題は単語数が少ないため、一見すると難易度が低そうだが、パッセージ単語数よって英検との難易度に大きな違いはないでしょう。
なぜなら、Dulingo English Testの場合は、短時間で英文を理解する能力が求められるからです。
それに比べて、英検は単語数は多いものの、Dulingo English Testよりも1問にかけられる時間は多く、受験者によっては英検の方が難易度が低いと感じることもあるでしょう。
下記の記事ではスコア80までの勉強法をまとめているので合わせてご覧ください。
リスニングの問題比較:Duolingo English Testと英検で問われるリスニング力の違い
Duolingo English Testでリスニング力が必要な問題には、以下があります。
- Listen and Type(ディクテーション問題)
- Listen and Respond(教授または友人の発言を聞いて適切な返答を選択する)
- Listen, Then Speak(質問音声を聞いて口頭で回答する)
Duolingo English Test(Listen and Respond)
Listen and Respondは、会話形式のリスニング問題です。
会話形式には、「学生と教授の会話」と「2人の学生の会話」のパターンがあり、受験者はどちらも学生の立場で解答します。
会話内容は「教授への質問・相談」や「クラスメートへの相談」などがあります。
解答時間は5〜6問を4分間です。
長い英文ではなく、相手の一文を聞いて返答として正しい選択肢を選びます。
以下に、例題を紹介します。
相手の発言に対しての適切な返答を、選択肢から選んでください。
【問題例】
You:I've been torn between physics and chemistry lately, which do you think is better?
Friend:【音声再生:https://youtu.be/m-TiE2AD5pI】
You:【?】
【選択肢】
① I've actually been interested in math and science since I was a little kid.
② For the past few years I have been interested in physics and science.
③ I'm more interested in history these days than in physics and science.
④ I'm interested in physics, where I can learn big concepts like quantum mechanics, but I'm also interested in chemistry, where I can learn about molecular structure.
【解答】
④ I'm interested in physics, where I can learn big concepts like quantum mechanics, but I'm also interested in chemistry, where I can learn about molecular structure.
量子力学のような大きな概念を学べる物理学にも興味があるが、分子構造を学べる化学にも興味がある。
次に、自分の発言に対する相手の返答が返ってきます。
この時、最初の自分の選択が間違っていた場合、正解の選択肢が自動で選択されます。
このようなやり取りを5〜6問繰り返します。
英検
英検準1級のリスニング問題は、筆記試験(90分)の後に行われ、試験時間は30分です。
このリスニング問題は、以下の3つのパート(計29問)に分かれています。
- 会話の内容一致選択
- 文の内容一致選択
- Real-Life形式の内容一致選択
1. 会話の内容一致選択
2名の会話について答える内容で、12問出題されます。
会話の最後にQuestionが読み上げられ、それに対する回答を選択肢から選びます。
2. 文の内容一致選択
パッセージの内容に関する質問に答える形式で、6つのパッセージ×各2問ずつ、合計12問出題されます。
パッセージの音声は約1分程度で、その後10秒間の回答時間が与えられます。
3. Real-Life形式の内容一致選択
日常生活で起こりうるシチュエーションのパッセージが5つ、それぞれに1つのQuestionがあります。
問題冊子には、シチュエーションとQuestion、選択肢が書かれており、音声が流れる前に事前に確認する時間が10秒与えられます。
パッセージは45秒程度の音声で、その後10秒で回答します。
例として、「会話の内容一致選択」の問題をみていきましょう。
【問題】
【選択肢】
この問題の正解は、「2」です。
コメント
Duolingo English Testと英検のリスニング問題の大きな違いは、音声の長さです。
英検の「1. 会話の内容一致選択」は、会話を全て聞いてから解答しますが、Duolingo English TestのListen and Respondでは相手との会話のやり取りなので、音声自体は短いものになっています。
また、英検の「2. 文の内容一致選択」では、約1分の音声を聞いてから解答します。
Duolingo English Testでは1分間音声をリスニングする問題は存在しません。
そのため、Duolingo English Testは短めの会話などの即時理解力が必要となり、英検では比較的長い会話やストーリーを聞き、内容を把握する力が試されます。
下記の記事ではInteractive Listening(リスニング問題)についてまとめています。
合わせてご覧ください。
Duolingo English Testと英検のライティング比較
Duolingo English Test
Duolingo English Testのライティング問題には、以下の4形式があります。
- Write About the Photo
- Interactive Writing
- Interactive listening
- Writing Sample
上記の問題で英検と似ている問題は、Interactive Writing、Interactive listening、Writing Sampleの3つです。
①Interactive Writing
ステップ1:数センテンスで提示される質問に対して、自分の考えを5分以内に記述します。(目標単語数:130単語)
ステップ2:ステップ1での解答に関連する質問が与えられ、3分以内に記述します。(目標単語数:80単語)
【問題例】
Are there any buildings in your city/town that you think are particularly beautiful or important?
Describe one in detail, and explain why you think it's unique or significant.
あなたの街や都市で、特に美しい、あるいは重要だと思う建物はありますか?ひとつを詳しく説明し、それがユニークで重要だと思う理由を説明してください。
②Interactive listening
Interactive listeningとは、会話形式のリスニングとライティングが融合した問題です。
Listen and Respond(会話のリスニング問題)で話した会話をSummarize the Conversation(要約問題)で要約します。
【会話内容】
You: I've been torn between physics and chemistry lately, which do you think is better?
Friend: They both sound interesting, but which one interests you more?
You: I'm interested in physics because I can learn big concepts like quantum mechanics. But I'm also interested in chemistry because I can study molecular structures.
Friend: Indeed, both are interesting fields. But I think you should choose according to what you want to do in the future.
You: That's right. Physics might be more theoretical and mathematical, but chemistry is more experimental.
Friend: Yes, that's true. With a physics degree, you can have a career as a researcher or engineer, and with a chemistry degree, you can have a career in the pharma industry or the materials science industry.
You: That is correct. Both are attractive in terms of expanding your career options, but you have to consider which is the best choice for you in terms of your future career goals.
Friend: I agree. It is important to choose carefully according to your interests and future goals. Whichever you choose, I believe you will do your best and succeed.
You: Thanks for your valuable opinion! It was helpful.
③Writing Sample
数センテンスで提示される質問に対して、文字を打ち込んで解答する問題です。
解答時間は5分です。
ハイスコアを目指すなら、130単語程度書くことを目標にしましょう。
【問題例】
Name a film that had a big impact on you. What about the film was so memorable?
What did you learn from the story? Include specific details in your answer.
あなたに大きな影響を与えた映画を挙げてください。その映画のどこがとても印象的でしたか?そのストーリーから何を学びましたか?具体的な内容を含めて答えてください。
英検
英検準1級のライティング問題は、大問4(英文要約問題)と大問5(意見論述問題)にあります。
英文要約問題
大問4の英文要約問題では、新聞記事や論文などに見られるアカデミックな英文(200単語程度)を読んで、60〜70単語の要約を作成します。
提示された文章を写すのではなく、できるだけ自身の言葉で言い換える力が求められます。目標解答時間は約20分です。
意見論述問題
大問5の意見論述問題は、与えられたトピックについて、自分の意見とその理由を120〜150単語程度のエッセイにまとめるというものです。
与えられるトピックは、10〜20単語程度の英文です。
問題の多くは、「賛成か反対か:小規模な独立した店は現代社会で生き残れる」など、社会性の高い内容ですので、このような話題について意見を書くことができるかが試されます。
回答するにあたり、問題文で提示された4つのPOINTSのうち、2つを用いることが課せられ、エッセイは序論、本論、結論という構成になっていなければいけません。
目標解答時間は約20分です。
Duolingo English Test・英検のライティング問題で必要となる単語数は、以下を参照してください。
コメント
Duolingo English Testのライティング問題で記入する目標単語数は、英検だと準1級相当になります。
しかし、Duolingo English Testは最低単語数の指定はなく、あくまで目安です。
Duolingo English Testは受験者の英語力に応じて問題のレベルが変わることから、質問の難易度も受験者によって違ってきます。
そのため、Duolingo English Testのライティング問題が英検何級レベルに相当するのかは、受験者の英語力によって変動していきます。
Duolingo English Testでスコア100を取りたいのであれば、英検準1級のライティング問題は解けるようになっておく必要があるでしょう。
下記の記事ではライティング・スピーキング対策の方法をまとめています。
番外編:「Duolingo English Test(スコア100)」と「英検準1級」を獲得したOさんのコメント
Duolingo English Testの勉強は、英検の勉強への親和性が高いと思います。
特に、ライティングとスピーキングについてだけ言えば、Duolingo English Testの方が大変なので、英検の方が簡単にすら感じました。
なので、Duolingo English Testの問題を解くことで、英検のライティングとスピーキングは十分対策になります。
一方で、リーディングについては、英検の方がやや大変なので、Duolingo English Testだけやっている方は、英検のテスト対策としてリーディング量を増やすなどしておいた方がいいですね!
Oさんについては下記の記事でインタビュー結果をまとめています。
まとめ
今回の記事では、Duolingo English Testと英検を比較し、その違いをご紹介しました!
Duolingo English Testと英検は、どちらも英語力を測る試験ですが、試験の目的や受験形式、試験内容は大きく異なります。
ただし、番外編で紹介したOさんのコメントにもあるとおり、Duolingo English Test対策は英検に、英検対策はDuolingo English Testに活かすことができます。
英検は日本国内で広く認知されているため、受験経験がある方は多いでしょう。
ですから、今後Duolingo English Testの受験を検討している・受験するという方は、ぜひ今回の記事を参考に、目標スコアやDuolingo English Testの試験対策について考えてみてくださいね!
Duolingo English Test対策Webアプリ:「DET Bridge」
Duolingo English Testの対策アプリ「DET Bridge」は、全19種類の問題をパート別で対策できるだけでなく、英文AI添削機能も導入しライティング強化にも活用できます。
ぜひ目標スコア到達に向けてご活用ください。