Duolingo English Test リーダーシップセミナー2026に参加してきました
2026年6月10日に開催された「Duolingo English Test リーダーシップセミナー2026」に、Duolingo English Test(以下、DET)公式ゴールドパートナーとして参加しました。
本セミナーでは、日本におけるDETの導入状況や活用事例に加え、AI時代の英語教育、大学教育の役割、国際教育・留学の変化など、これからの高等教育を考えるうえで重要なテーマが幅広く取り上げられました。
近年、DETは海外大学出願のための英語試験にとどまらず、国内の教育機関でも入試、英語教育、留学など、さまざまな場面で活用が広がっています。
本記事では、セミナーで共有された内容をもとに、DETの最新動向と、AI時代の英語教育・国際教育に求められる視点について紹介します。

目次
Duolingo English Test リーダーシップセミナー2026とは
Duolingo English Test リーダーシップセミナー2026は、教育機関におけるDETの活用をテーマに開催されたセミナーです。
大学関係者や教育関係者を対象に、DETの導入事例や活用方法に加え、AI時代の英語教育、大学教育のあり方、国際教育・留学の変化など、高等教育を取り巻く幅広いテーマについて、さまざまな知見が紹介されました。
今回のセミナーは、DETの最新動向を知るだけでなく、これからの大学教育において、英語力をどのように測定し、学習支援や留学準備につなげていくべきかを考える機会となりました。

セミナープログラム
● 基調講演:AI時代の世界で期待される「真のグローバル人材」のあり方
○ 株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役社長 岩瀬大輔氏
● パネルセッション1:生成AIを組み込んだ次世代の英語教育デザインと実践報告
○ 立命館大学 教授 山中司氏
○ 京都大学 准教授 金丸敏幸氏
● パネルセッション2:高等教育の国際化推進における具体的な実践事例と今後の課題
○ 関西大学 教授 池田佳子氏
○ 神田外語大学 学長・教授 芦沢真五氏
○ 東北大学 教授 米澤彰純氏
○ 一橋大学 教授 太田浩氏
● Duolingo English Testの最新動向と概要解説
日本におけるDET導入は拡大している
今回のセミナーでは、日本におけるDETの導入状況についても紹介されました。
これまでDETは、海外大学への出願を目指す学生が受験する英語試験というイメージが強かったかもしれません。
しかし現在では、日本国内の大学や教育機関においても、さまざまな目的でDETの活用が広がっています。
DETは「入試」「英語教育」「国際教育・留学」で活用されている
セミナーでは、DETの活用領域として、大きく3つの分野が示されていました。
1. 入試での活用
大学入試における英語力評価の1つとして、DETを活用する動きが見られます。
- 一般入試
- 推薦入試
- AO入試・総合型選抜
2. 英語教育の中での活用
学生の英語力を継続的に把握するためのアセスメントとして、DETは以下のような場面で活用されています。
- 入学前後のプレイスメントテスト
- 学期末に行う英語力測定テスト
- 進級・進学時の英語力確認
3. 国際教育・留学での活用
国際教育・留学の場面でも、DETは以下のような用途で活用が進んでいます。
- 派遣留学
- 交換留学
- 海外からの留学生の受け入れ
- 留学前のスクリーニング
- 英語力証明としてのスコア提出
このように、DETは単なる英語試験ではなく、教育プログラムの設計や留学支援にも活用され始めています。
セッション1|AI時代に求められるグローバル人材
最初のセッションでは、株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役社長の岩瀬大輔氏より、グローバルで活躍するリーダーに求められる力や、AI時代における大学教育の役割について講演が行われました。
岩瀬氏は『入社1年目の教科書』や『ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて』などの著者としても知られ、今回の講演では、リーダーに求められる判断軸や信念の重要性についても語られました。
特に重要だと感じたのは、これからの時代に必要なのは、単に知識を持っていることや、英語を話せることだけではないという点です。
AIによって情報へのアクセスが容易になるからこそ、自分なりの判断軸を持ち、問いを立て、考え続ける力がより重要になると感じました。
グローバルで活躍するリーダーに必要なもの
セッションでは、グローバルで活躍するリーダーに共通する要素として、周囲の人々の思考や行動、人生に影響を与える力が挙げられていました。
そのために必要な素養として、次の3つが紹介されていました。
- 深い知性
- 高い視座と広い世界観
- 大胆な行動力
英語力はもちろん重要です。
しかし、これからの時代に求められるのは、英語を話せることだけではありません。
英語を使って何を伝えるのか、どのような価値を生み出すのか、周囲にどのような影響を与えるのかが、より問われるようになると感じました。
「答えを得る力」よりも「問い続ける力」が重要になる
AI時代の教育においては、「答えを得る力」だけでなく、「問い続ける力」が重要になります。
生成AIの登場により、情報を調べたり、文章を作成したりすることは以前よりも簡単になりました。
しかし、AIを使いこなすためには、次のような力が必要です。
- 何を問うべきかを考える力
- どの情報を信じるべきかを判断する力
- どのような視点で考えるべきかを見極める力
良いプロンプトを出すためにも、背景知識や問題意識、物事を深く考える力が欠かせません。
AIがあるから知識が不要になるのではなく、AIを活用するためにこそ、知性や知識がより重要になると感じました。
今回のセッションを通じて、AI時代の教育では「問いを立てる力」「考え続ける力」「自分なりの判断軸を持つ力」を育てることが大切だと感じました。
セッション2|生成AIが変える英語教育
2つ目のセッションでは、AIを活用した教育デザインについて議論が行われました。
生成AIの普及により、英語教育においても「何を評価するのか」が大きく変わりつつあります。
特に印象的だったのは、評価の観点が「アウトプット」から「プロセス」へ移っていくという点です。
評価は「アウトプット」から「プロセス」へ
これまでの英語教育では、提出された文章や発表内容など、最終的な成果物をもとに学生の力を評価することが一般的でした。
しかし、生成AIを使えば、文章作成や表現の修正、アイデア出しを簡単に行うことができます。
そのため、完成したアウトプットだけを見て、学生本人の力を判断することは難しくなっています。
今後は「何を作ったか」だけでなく、次のような点を評価することが重要になると感じました。
- どのようなプロセスで考えたか
- AIをどのように活用したか
- どの部分に本人の判断があったか
また、AIを単なるツールとして使うだけでなく、学びを深めるためのパートナーとしてAIを活用できる学生を育てることも重要になると考えられます。
英語力は「話せるか」だけではなく「目的達成のために使えるか」へ
英語教育においても、今後は「英語を話せるか」だけでなく、「英語を使って何を達成できるか」がより重要になっていくと感じました。
単に正しい英語を使えることだけがゴールではありません。
これからの英語教育では、例えば、次のような力が重視されていくのではないでしょうか。
- 英語を使って相手とやり取りを続ける力
- 共通の目的に向かってコミュニケーションを進める力
これは、DETのような英語アセスメントを活用するうえでも重要な視点です。
スコアを取得すること自体が目的ではありません。
取得したスコアを、学習や留学、国際的な活動にどうつなげるかが問われる時代になっていると感じました。
セッション3|国際教育・留学の形も変わり始めている
3つ目のセッションでは、国際教育や留学の変化について議論が行われました。
近年は、学生の留学先や留学期間の選択肢が多様化しています。
従来のように長期間海外に滞在する留学だけでなく、短期滞在と事前・事後学習を組み合わせたプログラムなど、新しい形の国際教育が広がりつつあります。
留学先・留学期間の選択肢が多様化している
セッションでは、アメリカ留学に対して不安を感じる学生がいる一方で、ヨーロッパやアジアなど、目的に応じて留学先を選ぶ動きが出ていることが紹介されました。
また、1週間程度の短期プログラムに、渡航前後の学習を組み合わせるようなカリキュラムも注目されています。
短い渡航期間であっても、渡航前の準備学習や渡航後の振り返りを組み合わせることで、学びの量や質を高めることができます。
学生にとっては、自分だけでは行きにくい協定大学や海外機関で学べることも、大学が提供する留学プログラムの大きな価値になります。
今後は、長期留学だけでなく、短期留学、海外研修、オンライン学習、事前・事後学習などを組み合わせた、より柔軟な国際教育プログラムが求められていくと感じました。
英語による授業の難しさと可能性
国際教育を進めるうえでは、英語による授業の実施も重要なテーマです。
英語で授業を提供することで、海外からの学生を受け入れやすくなる一方、日本人学生が参加しにくくなるという課題もあります。英語で学ぶことに対する不安や、授業についていけるかどうかの心理的なハードルがあるためです。
また、教員側にとっても、英語で指導することへの不安は少なくありません。
今後は、翻訳や要約、表現支援などにAIを活用することで、教員と学生の双方が、より安心して英語を使った学びに参加できるようになるかもしれません。
国際教育においても、英語力そのものだけでなく、英語を使って学びに参加し、多様な背景を持つ人たちと協働できる環境をどう設計するかが重要になると感じました。
DETの活用は「英語力測定」から「教育設計」へ広がっている
今回のセミナーを通じて感じたのは、DETの活用が単なる英語力測定にとどまらず、大学における英語教育や国際教育の設計にも広がっているということです。
DETは、入試における英語力評価だけでなく、さまざまな場面で活用できます。
例えば、次のような活用が考えられます。
- 入学前後のレベル測定
- 学期末の英語力測定
- 留学前のスクリーニング
これにより、学生の英語力を一時点で測るだけでなく、入学後の学習状況や英語教育の成果を可視化しやすくなります。
また、AI時代の英語教育では、「英語ができるか」だけでなく、「英語を使って何を達成できるか」が重要になります。
英語力を測定し、その結果をもとに学習支援や留学準備につなげていくことで、DETは、教育機関の英語教育や国際教育を設計するうえで、有効な選択肢の1つになり得ます。
教育機関にとってのDET活用ポイント
セミナーでは、教育機関におけるDET活用のポイントとして、入試・英語教育・国際留学の各領域における論点も紹介されていました。
1. 入試での活用
入試においては、DETのテスト設計やアセスメント方法の妥当性をどのように評価するかが重要になります。
導入前には、次のような取り組みを通じて、評価方法への理解を深めることが有効です。
- 検証用のトライアルクーポンを活用する
- Duolingoのリサーチチームとの特別セッションを通じて、評価方法への理解を深める
2. 英語教育での活用
英語教育においては、学生の英語力を正確に把握することが重要です。
学生のモチベーション不足や、基礎的な英語スキルの不足を把握したうえで、次のような取り組みを組み合わせることで、より効果的な学習支援につなげられます。
- プレイスメントテスト
- モチベーション向上プログラム
3. 国際留学での活用
国際留学においては、DET導入に向けた説明や手続き、学生への認知度向上が重要になります。
学生がDETを理解し、留学準備に取り入れやすくするためには、次のような取り組みも有効です。
- 留学センター向けのウェビナー
- 学生向けPR資料の活用
このように、DETは「テストを導入して終わり」ではありません。
学生の英語力を把握し、学習支援や留学支援につなげるための仕組みとして活用することが重要です。
教育機関にとっては、DETをどの場面で使うのか、測定結果をどのように活かすのか、学生にどのようなサポートを提供するのかまで含めて設計することで、より実践的な英語教育・国際教育につなげられると感じました。
まとめ|AI時代の英語教育においてDETの活用はさらに広がる
Duolingo English Test リーダーシップセミナー2026では、日本におけるDET導入の広がりや、AI時代の英語教育、国際教育・留学の変化について多くの示唆が共有されました。
DETは、これまで海外大学出願のための英語試験として認知されることが多くありましたが、現在では国内の教育機関においても、入試、英語教育、国際教育・留学など、さまざまな場面で活用が広がっています。
また、AI時代の教育では、知識を持つだけでなく、問いを立て、考え続け、自分なりの判断軸を持つ力がより重要になります。英語教育においても、完成したアウトプットだけでなく、どのように考え、AIをどのように活用し、目的を達成したのかというプロセスが重視されていくでしょう。
その中でDETは、学生の現在地を把握し、学習支援や留学準備につなげるためのアセスメントとして、教育機関の英語教育設計を支える選択肢になり得ます。
株式会社クラクモでは、教育機関向けにDETの導入・運用支援を行っているほか、学生向けの学習支援や、DET Bridgeを活用した対策環境の提供も行っています。
DETの導入や活用をご検討中の教育機関様は、お気軽にご相談ください。




